選ばれる農家になるためのマインドセット
今年も収穫期が怖い——そんな風に思っていませんか?
「今年も収穫期が怖い。人手が足りなくて、ハローワークでも居ないし、知り合いに頼んでもサッパリだ……」
そんな風に、一人で歯を食いしばっていませんか?
毎年、収穫の時期になると胃が痛くなる。トマト、梨、ブドウ、桃の収穫が始まると、夜も眠れない。せっかく丹精込めて育てた果実が、人手不足で適期を逃したら品質が落ちてしまう。
「もっと早く声をかければよかった」
「時給をもう少し上げれば来てくれたかもしれない」
「去年手伝ってくれた人、今年は連絡がつかない……」
こうした後悔は、多くの農家さんに共通する悩みです。少子高齢化が進み、若者が都会に流出し、地域全体で働き手が減っている。これは紛れもない事実です。
でも、だからといって諦める必要はありません。
「時給を上げても人が来ない」は本当か?
「うちは場所が不便だから、時給を上げても人は来ない」
「農作業は大変だから、若い人は敬遠する」
「どうせ割の良い仕事に人を取られる」
こんな風に、最初から諦めてしまっていませんか?
実は、今の若者や副業希望者が求めているのは「お金」だけではありません。
もちろん、適正な賃金は大前提です。しかし、それだけで人が集まる時代は終わりました。むしろ、時給1,500円の農園Aよりも、時給1,200円だけど「働きやすい」農園Bの方が、リピーターが多いという事例も珍しくありません。
なぜか?
それは、今の働き手が求めているのは「お金」だけでなく、「働く意味」「働きやすさ」「成長実感」といった、目に見えない価値だからです。
- フリーランスや副業ワーカーは、「新しい経験」や「地域との繋がり」を求めている
- 子育て中の主婦は、「短時間でも歓迎される」「子どもの急病に理解がある」職場を探している
- 定年退職者は、「自分の経験を活かせる」「体力に合わせて働ける」場所を求めている
- 若者は、「SNS映えする体験」や「学べる環境」に魅力を感じる
つまり、「選ばれる農家」になるためには、賃金以外の”魅力”を言語化し、発信する必要があるのです。
コストをかけずに「明日から試せる」3つの条件
予算がなくても、広告費をかけなくても、明日からでも実践できる「選ばれる農家になるための3つの条件」をお伝えします。
人手不足を嘆くのではなく、「ファンづくり」に変える経営戦略の第一歩を踏み出しましょう。
条件1:「募集要項」を「ラブレター」に変える
多くの農家さんの求人を見ると、こんな内容になっています。
【募集】梨の袋掛け作業
時給:1,200円
期間:6月10日〜6月30日
時間:8:00〜17:00
場所:○○町△△
連絡先:090-xxxx-xxxx
これ、何が問題かわかりますか?
応募者の立場で考えてみてください。
- 「袋掛け作業」って何? 初めてでもできる?
- 8時間ずっと立ちっぱなし? 休憩は?
- 場所が不便だけど、駐車場はある?
- 初日はどこに行けばいい?
こうした「不安」が解消されなくて、応募のハードルが高くなっているのです。
選ばれる農家の募集要項は、こう変わります。
【6月限定】初めての方大歓迎!梨の赤ちゃんを守る「袋掛け」体験スタッフ募集
こんにちは、○○農園の△△です。
今年も梨の実が順調に育ち、6月は「袋掛け」の季節がやってきました。「袋掛け」って何?
梨の実を病気や虫から守るため、一つひとつ手作業で袋をかける大切な作業です。初めての方でも、丁寧にお教えしますのでご安心ください。こんな方にピッタリ!
✓ 農業に興味があるけど、経験がない
✓ 短期間だけ、集中して働きたい
✓ 自然の中で体を動かしたい
✓ 「モノづくり」の達成感を味わいたい働きやすさへのこだわり
- 作業開始前に、必ず30分の研修時間を設けます
- 休憩は1時間に10分、こまめに取れます
- 屋根付き休憩所で、冷たい麦茶とおやつをご用意
- 雨天時は作業中止(前日18時に連絡)
- 駐車場完備、最寄り駅から送迎も相談可
詳細条件
- 時給:1,200円(交通費:片道500円まで支給)
- 期間:6月10日(月)〜6月30日(金)※土日休み
- 時間:8:00〜17:00(実働7時間、休憩1時間+小休憩)
- 場所:○○町△△123(Google Map: [リンク])
応募方法
LINEまたは電話で「袋掛けスタッフ希望」とお伝えください。
LINE: @xxx / TEL: 090-xxxx-xxxx
担当:△△(平日9:00〜18:00)一緒に、今年の梨を美味しく育てましょう!
どうでしょうか? 同じ時給1,200円でも、印象がまったく違いますよね。
ポイントは3つ
- 「何をするのか」を具体的に伝える
専門用語を使わず、初心者目線で説明する - 「不安」を先回りして解消する
「初めてでも大丈夫?」「きつくない?」「場所はわかる?」といった疑問に、先に答えておく - 「あなたを歓迎している」というメッセージを伝える
事務的な募集要項ではなく、人柄や温かみが伝わる文章にする
これだけで、応募のハードルは大きく下がります。
条件2:「働く意味」を言語化する
「袋掛けなんて、誰でもできる単純作業でしょ?」
そう思っていませんか? でも、それは大きな間違いです。
どんな作業にも「意味」があり、それを伝えることで、働き手のモチベーションは大きく変わります。
例えば、同じ「袋掛け作業」でも、こんな風に伝えられたらどうでしょう。
パターンA(意味なし)
「今日は500個、袋をかけてください。お願いします」
パターンB(意味あり)
「今日かける袋は、8月に収穫する梨の”服”なんです。この袋のおかげで、虫や病気から実を守ることができる。つまり、あなたが今日かけた袋が、お客さんの食卓に届く梨を守っているんですよ。一つひとつ、丁寧にお願いしますね」
パターンBの方が、「自分の仕事が誰かの役に立っている」という実感を持ちやすいですよね。
働く意味を伝えるコツは、次の3つです。
- 「この作業が、最終的にどんな価値につながるか」を説明する
例:「この袋掛けが、8月の甘い梨になる」 - 「お客さんの顔」を想像させる
例:「この梨を楽しみに待っているお客さんがいる」 - 「あなたの仕事が、農園全体を支えている」と伝える
例:「今日のあなたの頑張りで、今年の収穫が決まります」
こうした一言があるだけで、「ただの時給労働者」から「意味のある仕事を担当するスタッフ」に変わります。
条件3:「リピーター」を育てる仕組みを作る
多くの農家さんは、毎年新しい人を探すことに疲弊しています。
でも、考えてみてください。「去年も来てくれた人」が、また来てくれたら、どれだけ楽でしょうか?
- 作業の説明が不要
- 段取りを知っている
- 信頼関係がすでにある
つまり、「単発のアルバイト」ではなく、「毎年来てくれるファン」を育てることが、人手不足解消の最短ルートなのです。
リピーターを育てるために、今日からできることは3つ。
①最終日に「ありがとう」と「また来年」を伝える
作業が終わったら、こう伝えてください。
「今年も本当にありがとうございました。○○さんのおかげで、無事に袋掛けが終わりました。もしよければ、来年もまた一緒に働いてもらえたら嬉しいです。また連絡しますね」
この一言があるだけで、「来年も来ようかな」という気持ちが芽生えます。
②連絡先を交換し、収穫時に「あの時の梨です」と届ける
可能であれば、LINEやメールアドレスを交換しておきましょう。
そして、収穫した梨を少しだけお裾分けして、こんなメッセージを添えます。
「6月に袋掛けを手伝っていただいた梨が、無事に収穫できました。○○さんのおかげです。ほんの気持ちですが、よろしければ召し上がってください」
自分が関わった梨が、本当に商品になった——この「つながり」が、リピーターを生みます。
③翌年の募集時に「優先案内」をする
翌年、募集をかける前に、前年の働き手に優先的に声をかけます。
「○○さん、お久しぶりです。今年も袋掛けの季節がやってきました。もしご都合がつけば、また一緒に働いていただけると嬉しいです。6月10日から募集開始しますが、○○さんには優先的にお知らせしますね」
この「優先案内」が、「自分は特別扱いされている」という感覚を生み、リピート率を高めます。
まとめ:人手不足を「ファンづくり」に変える
今回お伝えした3つの条件を、もう一度おさらいしましょう。
- 「募集要項」を「ラブレター」に変える
→ 初心者目線で、不安を解消し、歓迎のメッセージを伝える - 「働く意味」を言語化する
→ 単純作業ではなく、価値ある仕事として伝える - 「リピーター」を育てる仕組みを作る
→ 単発ではなく、毎年来てくれるファンを増やす
これらはすべて、今日から、お金をかけずに実践できることです。
もちろん、すぐに劇的な変化が起こるわけではありません。でも、一人ひとりを大切にし、「選ばれる農家」になるための小さな積み重ねが、やがて大きな変化を生みます。
「人手不足」は、あなたのせいではありません。でも、「選ばれない農家」になるのは、あなたの選択です。
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